演出を終えて 岩橋由莉
今回の「らぬきの殺意」は、戯曲をベースに朗読劇に仕立てました。
初演でないとはいえ、初めて台本を持たないスタイルで行ったため、ストレートプレイのようなアイコンタクトの取り方、身体の動作など、一から見直す作業が必要でした。
一般的に朗読劇は象徴的な動きを基本に語りを聴かせます。しかし、今回は会話を積み重ねていくので象徴的な動きではやはりしっくり来ません。できるだけ日常に近い身体動作、朗読発声ではない語り口を探っていただきました。
試行錯誤のうちに本番を迎えましたが、その本番を客席で見ながら驚いたことがあります。話が展開するにつれ、皆さんの表現がどんどん大きく変化していくのです。お客さんが笑ったり感心したりする反応に合わせて、豊かな音と表現を繰り広げていく座員の皆さんの柔軟性に脱帽しました。
ありがとうございました。
|