あめんぼ座の活動

松本清張初期の傑作を舞台化。 語り芸花舞台に5回目の出演でした。

松本清張作/柳沢佐和子演出「張込み」



あらすじ

強盗殺人犯、石井の行方を追って、柚木刑事は一人九州のS市に赴く。石井の昔の恋人で、今は三人の子持ちの男に嫁ぎ、つましく暮すさだ子は、情熱のかけらも感じさせない女だった。判で押したような単調な彼女の日常を、柚木刑事は自分の直感を信じてひたすら張り込む。 五日目の朝、さだ子にかすかな変化が・・・。



出演

西垣瑩子 柳沢佐和子 西野孝子 中原茂々代 泉谷聖子 南数美 藤田雅子 岩佐智秋


群読の可能性~「張込み」演出を終えて~
柳沢佐和子


上方芸能主催「語り芸花舞台2006」が、無事終了しました。みなさま、本当にありが とうございました。評判も良かったようで、嬉しいお褒めの言葉をたくさんいただき、 一同感謝、感激しています。

この「語り芸花舞台」では、いつもあめんぼ座の特色である「群読」が求められます。 他の競演者との差別化という意味でも、バラエティに富んだ舞台を、ということでも あるのでしょう。

一般的に群読は、力強さや勢い、重厚感を表すのに適しています。群読を効果的に聴 かせることの出来るかっちりした文体で、話の筋も面白い短編が、いつも簡単に見つ けられればいいのですが、これがなかなか難しい。文語調の作品や、文豪作家のもの は比較的合うのですが、初めて聴く観客にとって難解だったり、マンネリになってし まうのもつまらない・・・、作品選びが一番難しいのです。

松本清張「張込み」の文体は、いわゆる「群読」向きのものではありませんが、この 作品で、私はいっそ群読を主役にしてみたい!と思ったのです。柚木刑事がさだ子の 日常を見つめ続ける前半の「静的な緊張感とあせり」、動き出したさだ子達の行方を 刑事が追っていく「動的な緊迫感」、二人の逢瀬に漂う「煌きと危い揺らぎ」、ラス トの女の人生に対する「刑事の心情」、この四つのヤマを、それぞれの場面に相応し い色合いの群読で表現したかったのです。もちろん完璧とはいえませんが、少しは理 想に近づけたかな、と思っています。いまのあめんぼ座のメンバーの力があれば、こ れから、もっともっと多様な表現が可能だと思っています。


備考

語り芸花舞台は雑誌『上方芸能』編集部・(財)大阪労働協会が主催する大阪市助成公演。2001年から毎年秋に開催され今年で6回目。あめんぼ座は今年で5回目の出演。他の競演者は当代語り芸の達人小沢昭一氏(永井荷風、朗読『榎物語』)、辻ひろ子氏(向田邦子、『だらだら坂』)。

No.83(ワッハホール)での
劇団あめんぼ座岩佐智秋構成/演出「ひょんと消ゆるやー僕は芸術の子です・竹内浩三」 は大好評でした。

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