上方芸能主催「語り芸花舞台2006」が、無事終了しました。みなさま、本当にありが
とうございました。評判も良かったようで、嬉しいお褒めの言葉をたくさんいただき、
一同感謝、感激しています。
この「語り芸花舞台」では、いつもあめんぼ座の特色である「群読」が求められます。
他の競演者との差別化という意味でも、バラエティに富んだ舞台を、ということでも
あるのでしょう。
一般的に群読は、力強さや勢い、重厚感を表すのに適しています。群読を効果的に聴
かせることの出来るかっちりした文体で、話の筋も面白い短編が、いつも簡単に見つ
けられればいいのですが、これがなかなか難しい。文語調の作品や、文豪作家のもの
は比較的合うのですが、初めて聴く観客にとって難解だったり、マンネリになってし
まうのもつまらない・・・、作品選びが一番難しいのです。
松本清張「張込み」の文体は、いわゆる「群読」向きのものではありませんが、この
作品で、私はいっそ群読を主役にしてみたい!と思ったのです。柚木刑事がさだ子の
日常を見つめ続ける前半の「静的な緊張感とあせり」、動き出したさだ子達の行方を
刑事が追っていく「動的な緊迫感」、二人の逢瀬に漂う「煌きと危い揺らぎ」、ラス
トの女の人生に対する「刑事の心情」、この四つのヤマを、それぞれの場面に相応し
い色合いの群読で表現したかったのです。もちろん完璧とはいえませんが、少しは理
想に近づけたかな、と思っています。いまのあめんぼ座のメンバーの力があれば、こ
れから、もっともっと多様な表現が可能だと思っています。
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