あめんぼ座の活動

岩佐智秋構成/演出「ひょんと消ゆるやー僕は芸術の子です・竹内浩三」



あらすじ

戦没学徒兵、竹内浩三は23歳の若さで戦死した。
生前、彼はたった一人の姉、こうに数多くの手紙を書き残した。 両親を早くに亡くした二人であったが、弟、浩三にとってこうは、姉というより母のように甘えられる存在であった。 浩三は生来、楽天的でひょうきんな性格であったが、一方冷静で繊細、かつ鋭い感性の持ち主であった。
浩三は東京での学生生活を謳歌するあまり、姉に金の無心を繰り返す。 姉は弟から送られてくるたびたびの手紙の中に、芸術への純粋でひたむきな才能を認めつつも、そんな弟の姿を情けなく、はがゆい思いで見つめていた。
浩三の出征の日、こうは頼りないとばかり思っていた弟に抱いていた姿と違うものを感じる。
検閲の目を潜り抜けまでして、姉こうの元へ送り届けたかった日記。
自ら「筑波日記」と名づけたその手帳には、芸術の子として生きようとした浩三の心の叫びが気負いもなく記されていた。
弟の戦死の報を聞き、長い間開けることもなかったこの手帳を開き、こうは言い様のない切なさに涙する。



出演

西垣瑩子
柳沢佐和子
西野孝子
中原茂々代
泉谷聖子
南数美
藤田雅子
柏原圭子
久保田みぎわ
真木美佐緒


スタッフ
演出:岩佐智秋
音楽:宮本和幸
照明:三前貴志
衣装:スタジオMO
舞台進行:吉田英利


演出を終えて 岩佐智秋
浩三さんの公演を終えて、1ヶ月半になる。今はもう十月の「語り芸花舞台」のための立ち稽古に入っている。今更ながら、こんな読み手として力のない私がよく台本を纏め、演出などと大それたことをさせてもらったものだと思う。(ある意味、それは演出ではなかったのかも知れないが?)
自分一人ではかたちにならなかったものが、ひとつひとつ形になり出来上がっていく。今から思えば、頼りになるのは、私の周りにいるすべての人たちだったように思う。
多くの人の力を借り、本番は私がイメージしていた以上の出来映えになった。私自身の反省すべき点は色々あっても、あめんぼ座のメンバーはもちろんのこと、この作品に携わって下さったスタッフの皆さん、力を惜しまず協力してくれた伊勢の方々、皆さんのおかげでこんな素晴らしい舞台にしてもらえたことに、心から感謝している。
この作品を見るために、わざわざ遠く、豊橋市から橋本市から伊勢からたくさんの方々にお越しいただいた。公演の二日間は、数多くの観客の皆様に足を運んでもらい、その方々に少しでも浩三さんのことを知ってもらえたかと思うと、もう感無量である。
朗読を通して、自己表現が出来た喜びは、何にもまして代え難く、浩三さんの作品に出会えた偶然が、私に様々なことを考えさせ、その喜びに導いていってくれたように思う。今は、すべてのことに感謝している。


お客さまの声から

  • 構成が良く大変印象的でした。竹内が生きていたらこんなに面白い映画を作ってくれたことか。胸に迫りました。竹内の書いたもの彼の友人が書いたものを芝居にするのではなくそのまま読んでその心を伝えることの意味を深く感じました。竹内の写真、友人たちの言葉、姉さんの文がうまくミックスされ、おもしろかったです(女性 60代 2回目)

  • 一見、恵まれたかに見え、姉の愛にすがって自由に生きたような竹内浩三の柔軟で傷付きやすい反面「芸術の子」として生きる決意をもつ強い人間でもありながら戦争に巻き込まれ追い詰められていく悲劇の人間の生きようが切々と伝わってきました(女性 30代 初めて)

  • パフォーマンス全体の雰囲気が良かった。言葉が平面的説明的であったのが残念。説得力や背景の表現がもっとほしかった(男性 30代 2回目)

  • 朗読劇初めて拝見しました。とてもストレートで余分がなく分かりやすかったです。竹内浩三さんが愛おしく大声で泣叫びたくなりました(女性 30代 初めて)

  • まずは素晴らしかったです。俳優陣の声のとおり、表現のし方すべてぴったりはまっていました。あまりに正統派すぎて冒険がなさ過ぎて優等生の舞台!という気がしますが、竹内浩三その人と作品をしっかり伝えるにはやはりこの方法が一番ふさわしいかったのだと思います。智秋さんの演出すごい。観に来て良かったです(女性 40代 3回以上)

  • 内容が分かりやすく、又皆様の力が伝わって来ました。素晴らしかったです。胸を打たれました(女性 60代 3回以上)

  • たまたまとおりがかりにこの上演に出会いました。昨年敗戦60年に当り、地元在住の90才になられるフィリピン帰りの方にお話を伺う機会が有り、重ねて拝見しました。その方は歌を読み歌集の中で戦場の経験と戦死した戦友の鎮魂を書かれていました。戦争がナイーブな青年の精神にどんなにむごいものか伝わって来ました(男性 40代 初めて)

  • 久しぶりにしづかな舞台に接することが出来たこと。懐かしい言葉遣い、よいものを観賞で来ました。よくおさえられた声でお一人お一人素晴らしい発声でした。大変でしょうがどうぞ続けて下さいますように(女性 70代 初めて)

  • 戦争の頃は良く覚えています。懐かしくまた当時の悲しい貧しい頃がふつふつとよみがえりました。いつも上手なので感動しています(女性 70代 3回以上)

  • 竹内浩三さんのことは今までまったく知りませんでした。あの戦争はこの方のように偉大な才能を持つ人の命も粗末にしてきたんですね。今生きておられたらどんな叫びを表現されたのでしょうか。朗読劇も初めてでした。いいものですね(女性 50代 初めて)

  • 先日中西和久さんのコンサートドラマをみました。そして今日の舞台でも涙が出てとまりません。戦後60年ですね。平和でありますように。(女性 70代 3回以上)

  • 立派な舞台でした。圧倒されました(女性 50代 2回目)

  • はじめて観劇させていただきすばらしい中に引き込まれました。このような経験に久しぶりに胸いっぱいの感動に時も忘れてしまいました。本当にありがとうございました。すばらしかったです(女性 60代 初めて)

  • 朗読の勉強を始めて半年の者です。いろいろな朗読会をみています。朗読劇は本当に難しいと思います。もっと悲愴感で迫られるのかと思っていましたが、素朴な人柄の人物だったせいか淡々としかしながら人間臭さのあるかんじで、戦争の時代にいた人が特別だったのではなく脈々と人間の歴史の中の1つのできごとで、もしかしたら'特別なこと'ではないかもしれない?(女性 30代 初めて)

  • 格調たかく高く良かったです。1時間40分は長かったように思います(女性 40代 2回目)

  • 少しテーマが重かったですが戦争に行った若い人の気持がよくわかりせつなくなりました(女性 40代 2回目)

  • 詩が読まれるとこんなに美しいものかと感じました。本で読んだ時気がつかなかった美しい言葉をたくさん発見しました(女性 70代 初めて)

  • 苦く悲しい時代に生きた青年の心がひしひしと伝わって来ました(女性 40代 初めて)

  • 演劇とはまた違うよさがあったと思いました。最後にもう一度みなさんそろって出てきて欲しかったです(女性 40代 初めて)

  • いつも感じます。個人の演技の素晴らしさに加えて郡読の素晴らしさを。今回は低く抑えられて胸にしみ込みました(女性 60代 3回以上)

  • 明確な反戦メッセージがあればよい。戦争や死の美化につながらないか。若者の生活日記・身内以外の人にはさほど興味のないのではないでしょうか。あめんぼ座はやはり文学作品がよい(男性 60代 3回以上)

  • あの頃の心境はっきり思い出します。子供心にも来る日も来る日も暗い日々。いつになったら明るい日々が来るのだろう?神風なんて?と考えたあの頃を思い出します。戦争なんて絶対厭!!でもそれはないのかしら?、現在の世相をみると。(女性 70代 3回以上)

  • 最初はなかなか入りにくい感じでしたが後半は引き込まれました。作品としてはイメージがしにくいので「離さない」などの様な作品を演じられる方がドキドキします(女性 40代 4回)

  • 「骨のうたう」の詩の朗読でいきなり違和感!あの詩のトーンがあまりに押し付けがましくて思いきり引いた。あれがあのトーンでなければならないのなら始めにもってきてほしくはなかった。ひょんと死ぬるという表現を使う人の話を楽しみにきたのにひどくがっかりした。姉の語りで入りかけた作品に最後まで戻れなかった(女性 40代 3回以上)

  • 戦争中、私は学生で学徒動員に参加、又家も空襲で全焼しなにもかも失ってしまった時のことを思い出しました。竹内浩三さんは若くて戦死「ひょんと消ゆるや」の朗読テーマの通り今更戦争の怖さを痛感し消して忘れてはならないと?。西垣先生の朗読につづいて各あめんぼ座のメンバーの方々の朗読には心を打たれました聞き入ってしまいました。ありがとうございました。これより先の御活躍心より御祈りしています(女性 70代 4回目)

  • 芸術の子、竹内浩三さん一大分前ですが朝日新聞に載っていて読んだ記憶が有り、とても期待して聞かせていただきました。お一人お一人の素晴らしさ、群読の素晴らしさ、照明、音響、衣装もよかったです。そしてあめんぼ座が伝えたかったのは平和の大切さではないかと私は思いました。戦争を経験した私達世代はもっともっと世の中をよくみて戦争反対を言い続けなければいけないと切実に感じました。ありがとうございました(女性 70代 3回以上)

  • 親代わりの姉こうさんのナレーターによる進行する物語!!(先生の幅のある若々しい声に脱帽)ひょうきん者の浩三さんの生き甲斐とした「筑波日記」とスライドによる想い出の写真の数々!! 戦争により実現できなかった浩三さんの芸術家の夢。さぞ無念だったと思います。またいつもながら一糸乱れぬ群読・輪読のすばらしさ。座員のみなさんの力演に圧倒されました。今後ますますのご活躍を期待しております(男性 70代 8回目)

  • おもしろい構成でした。主人公が何人もの方が演じ厚みを感じました。楽しませていただいてありがとうございました(女性 40代 2回目)

  • 現在、世の中では外国に派兵したがる人が多いが、この3回の公演以外にもこれをもっと大勢の人に見せて考える機会になって欲しい。いつもの演目とは違う感激をした(60代 3回以上)

  • はじめて朗読を観てすごくよかったです。声がすごく通っててわかりやすかったです。戦争中の話でしたがイメージをして話を聞くことができました(女性 20代 初めて)

  • 最後のお姉さんの言葉に目が潤んで来ました。今こそ'戦争'ということについて我との思いを?いがみあっている国との長達に真剣に考えて欲しいと本当に思います。わが子がこの立場にあったらどうあろうかと深く思いました(女性 60代 初めて)

  • 愚の旗をよんでいましたので寄せていただきました。朗読によって彼の語り口が身に迫りました。また松島こうさんのお気持ちのやさしさせつなさ、やりきれなさ?我が身に深く迫りました。花の街のメロディーが美しく哀しく身を包んでくれます。セリフをすべてリフレインも揃って、落ち着いて聴くことがで来ました。伺ってとてもよかったです。日々を大切に生きていきます(女性 60代 初めて)

  • こうゆう表現の仕方もあるんだなと面白く思いました。音楽がついたりすることでより深く感じられた気がします(女性 30代 初めて)

  • 浩三さんの後輩で伊勢出身の男4人で来ました。この劇は森節子さんから教えてくれました。よく考えられた劇だと思います。「古川書店」で買ってくれと浩三さんが手紙に書いたのを懐かしく気来ました。私も小さい頃から新道にある古川書店に行ってました。後半からは涙が止りませんでした。素晴らしい劇をありがとうございます(男性 40代 初めて)

  • 今世界で正義の名のもとに戦争が続いています。人間は本来生きる楽しさを全うするために生まれてきたのに。日本も今第2回目の召集令状を突き付けられている状況かと思われます。憲法を変え戦争できる国にしようとされてはたまりません。本当にしみじみと深く観賞させていただきましたありがとう。(女性 60代 初めて)

  • 最後に人間は生きることががつとめといわれてほっとしました。新しい人が出演されて好感をもつことができました。全体的にとっつきにくい思いがしました(女性 60代 3回以上)

  • 浩三さんんの心の情景が手にとるようにわかるようであった。体勢での初公演よりこまやかな心の動きが表現されていたようです。しかし初演はシンプルさが心の強いく残っております(男性 50代 2回目)

  • 詩はおぼろげに知っていましたが、はっきりとしっかり聞くことがで来てよかったです。あめんぼ座のCDの作製も宣敷くお願いします(女性 60代 6回目)

  • 私の年令には忘れ難い想い出で、また伝えねばならないことですが、ターゲット(年齢層)に従ってはどれ程感銘を受け理解出来たかな?と熱演に思いを深くしています。(女性 70代 多数)

  • 芸術をするために生きたかった浩三さんの思いが時代を超えて見事に立体化されたことは本当にすばらしいことだと思い、感動し涙が出ました。戦死で弟さんを失った悲しみははかりしれないと思う。今回も迫力ある群読に魅了されました(男性 40代 25回以上)

  • 戦争の話なので何か重い感じがしました。演出、構成良かったと思います。シャツの色も明るくよい感じでした。群読はいつもながら素晴らしいと思われました。でも今度は飛び跳ねるような楽しい演目もやってほしいと思いました。(女性 60代 3回以上)

  • 竹内浩三と同じように芸術をこよなく好きな私には大変心にしみる朗読劇でした。したいことややりたいことがいっぱいあるのに、戦争と言う理不尽なことのために希望ある未来を全部潰された浩三が、2冊の手帳に記した言葉にとても心が揺さぶられました。浩三の詩や絵ももっと紹介して欲しかった(女性 20代・50代 2回目)

  • いつもとちがう感じのあめんぼ座をみたのは演目のせい?いろいろな面が楽しめた。少し重い話の分衣装がカラフルですくわれた(女性 60代 3回以上)

  • 5月の伊勢での公演も拝見させていただきました。より一段と素晴らしい出来映えに感動し皆様のご精進に心から敬意を表します。姉上役の西垣様の朗読が素敵でした。お姿まで松島様に似て来られたように感じました。構成、演出がしっかりしていて、浩三さんを今に生き生きとよみがえらせて下さった力量は見事です(女性 60代 2回目)

  • 文章の朗読を聞いたようでしたが、なにか物足りなかった。メリハリもないしただ声だけの文章を読んでいた様です(女性 80代 初めて)

  • はじめての体験でしたが心を動かされました。友と母を失った自分を思い出し今夜はまた一人もの思いにふけることでしょう。ありがとうございました(女性 50代 初めて)

  • おもしろい構成でした。主人公を何人もの方が演じ、厚みを感じました。(女性 40代 2回目)

  • いつもと違う感激をした。(女性 60代 3回以上)

  • 大阪民主新報での記事も拝見しました。皆さんの朗読とうしろの写真を見ていると胸にこみあげるものがありました。(女性 50代 初めて)

  • もう少しユーモラスな彼の姿を多く表して欲しかった。(女性 60代 初めて)

No.82(大阪そごうホール)での
劇団あめんぼ座御伽草子「浦島太郎」 川上弘美「離さない」は大好評でした。

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