あめんぼ座の活動

伊丹公演2013は森鷗外の名作と軽妙なエッセイの取り合わせでした。

森鷗外「高瀬舟」東海林さだお作「まるかじり」

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あらすじ
<高瀬舟>
ある春の夕暮れ、京都町奉行所の同心羽田庄兵衛は遠島を申しつけられた喜助という男を高瀬舟に乗せて護送していくことになった。弟殺しという大罪を犯したというこの男はなぜか晴れやかにさえ見える。疑問に思った庄兵衛は......。安楽死を扱った問題作。

<まるかじり>
週刊誌に連載されて大好評の東海林さだおのエッセイ。そのなかから食べ物に関する5篇を選んでお送りします。
出演
柳沢佐和子 柏原圭子 西野孝子 泉谷聖子 南数美 藤田雅子 岩佐智秋・真木美佐緒
演出
柳沢佐和子
公演を終えて
柳沢佐和子
 ラスタホールでの公演には沢山のお客様にご来場いただき楽しんでいただけたようでホッとしています。
 前半は重いテーマの「高瀬舟」でしたが、後半は面白くて味わいのある東海林さだお氏のエッセイ「丸かじり」シリーズから選んだ5つを、5人のメンバーが個性豊かに朗読し、会場から笑い声と笑顔が溢れました。
 森鷗外の「高瀬舟」は、あめんぼ座としては、約10年ぶりの上演でした。この作品のテーマが実に今日的で、改めて考えさせられます。喜助と弟の悲惨な生活は、現代のワーキングプアといわれる人たちと同じです。また、物質的に豊かでも精神的な満足や幸福感を持つことのできない、欲を無くすことの出来ない人間の業、そして安楽死の問題もしかり、です。
 弟の苦しみを救うために結果的に殺人の罪を犯した喜助は、苦しみぬいた末、今は澄んだ軽やかな心境になっています。喜助の語り口は、きっと重苦しくはないのではないか、あまりに辛い出来事を経験し、身体の奥深いところに感情を仕舞いこんでしまったのではないか、と思うのです。喜助が弟の切羽詰まった目に追いつめられていく場面は、群読のリフレインで表現し、リアルな悲惨さより、白日夢の出来事のように感じてほしかったのです。
 いい作品はシンプルながら、いくらでも、どこまででも深めることができるものです。終わってみて、まだまだ足りなかったと感じていますが、また再演する機会があれば、もっと作品の本質に迫り、深くできればと思います。
ラスタホールまでの案内図
★阪急伊丹駅より、
伊丹市バス系統〈37〉阪急塚口行「稲野町8丁目」
下車徒歩1分 

★阪急神戸線塚口駅北側出口より
伊丹市バス系統〈37〉、〈40〉三師団交通局前行
第12回語り芸花舞台(兵庫県立芸術文化センター阪急)での
劇団あめんぼ座谷崎潤一郎「刺青」は大好評でした。

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