「曽根崎心中」、「ら抜きの殺意」演出を終えて
岩橋由莉
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朗読劇は無限の表現スタイルがあります。演劇に限りなく近いものもあれば、ほとんど動かずに語るものもあるでしょう。語られる日本語の世界に合わせてイメージを具体化していくのが見せ所だと思っています。
「曽根崎心中」では、古文と現代文の構成、動き、音楽と生の三味線との絡み、照明、すべて以前からやってみたかったことばかりでした。あめんぼ座のみなさんだからこそ、それらにゆるがぬ語りをしてもらえると信頼していました。「曽根崎~」は始まりから終わりまで、演者には緊張の糸を張り詰めた感じにしておきたくて、それを上手く緩和してくれるのが、音楽や照明そして、菊若啓州先生の三味線でした。
一方、「ら抜きの殺意」は現代の戯曲です。大切なのはことばとことばのあいだにある「間(ま)」。タイミングを間違うと笑えなくなってしまします。稽古ではその「間」の大切さを何度も稽古しました。「曽根崎~」とは反対に「ら抜き~」では、観ている人と舞台との距離をぐっと縮めてみたいと思いました。舞台袖から観客の皆さんの息遣いや反応がはっきりと感じられてたまらなくうれしかったです。
ありがとうございました!
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