あめんぼ座の活動

松本清張「二階」、川上弘美「離さない」



あらすじ

松本清張『二階』
印刷業を営む自宅の二階で療養中の夫・英二は治る見込みのない病気だった。夫につけた付き添い看護婦・坪川裕子は、職務に忠実で地味な中年女性で、妻の幸子は安心して家業に専念していた。しかし次第に、自分の知らない時間を過ごす二人の存在が気になりはじめ、2階に行くことがなぜか怖くなっていく。二人の見えない関係に追いつめられ、神経をすり減らしてゆく幸子。妻の猜疑は膨らみ、3人の関係は凍りつくような結末を迎える。心理劇の面白さと朗読の醍醐味を味わっていただけたらと思います。


川上弘美『離さない』
わたしの部屋の上に住むエノモトさんは旅先で見つけた人魚を家に連れ帰ってしまった。その人魚をわたしに預かってくれという。仕方なくわたしは人魚と暮らすが、一週間もたたないうちに人魚の虜になってしまう・・・。人魚の存在に魅了され、執着し、支配されていく男女の日常を淡々と描いた、とても不思議で奇妙な作品です。
周辺マップ
地下鉄・近鉄「日本橋」駅下車7号出口徒歩1分


出演

「二階」中原茂々代・西野孝子・泉谷聖子・藤田雅子

「離さない」西垣瑩子・ 柳沢佐和子・南 数美

演出 土居原作郎

照明 新田三郎

音響 宮本和幸

衣装 アトリエMO

上演に寄せて   土居原 作郎

朗読劇専門の劇団として30年以上の実績を誇る「あめんぼ座」
本公演は、よりすぐった「七人の侍」ならぬ「七人の女剣士」で御目見得する。 私もこの劇団とは5作目のお付合いとなる。
「音」でもっとも美しいのは人間の肉声であるといわれている。 「声明」に端を発する日本の芸能の最大の特色は「語り芸」の伝統にある。 七人衆のリーダー的存在は柳沢佐和子さんである。次代を背負うと期待されていた姉川明子さんが亡きあと、西垣瑩子さんが健在とはいえ、柳沢さんの責任は重い。陰ながらエールを送るゆえんである。
今回上演するのは、ご存知松本清張原作の、意外な結末にびっくりさせられる「二階」。 1996年芥川賞を受賞された河上弘美原作の「離さない」。 異色の二本立てである。 無人の海辺で人魚と別れを告げる時の「離さない!」という人魚の悲痛な叫び声は絶品である。 今年の流行語大賞になるのではないかとひとり悦に入っている今日このごろです。
ご来場誠にありがとうございました。

お客さまの声から

☆久しぶりの清張の作品を聴きました。私達の時代は、この作家で楽しんだものだと改めて感じました。二作目はほっとする作品で、西垣さんの可愛らしさに二人の朗読者も良かったです。今回は原点にもどったような演出で、私は好きです。(70代、女性、3回以上)

☆初日なのにプロンプの声もなくすっきりしていました。重い重い「二階」と夢のような「離さない」の取り合せはとても良かったです。(60代、女性、3回以上)

☆「二階」は全く知らない作品でしたので、ストーリーの展開にドキドキしました。妻の心の変化や怖さがとてもよく出ていて引き込まれました。「離さない」はなんてユニークな話でしょう。とても楽しい気分になれました! こっちがあとでいい順番ですね。めずらしい作品ふたつおもしろかったです。西垣先生の声、若々しくかわいいです。(40代、女性、2回以上)

☆「二階」清張の計算された心理描写がこちらに迫ってきた。声、音楽、シンプルな衣装、それらがピッタリひとつになり、シーンを想像させた。ナレーションの交代がうまくいっていた。「離さない」ファンタスティックミステリ?を心地よく味あわせていただきました。人魚の鱗を想像させる衣装も良かった、声を合わせるシーンがとても良かった。(50代、女性、初めて)

☆「二階」とてもよく情景が分かり、妻の夫への執念が浮きぼりにされていました。「離さない」題材が新しく舞台もカラフルでした。装置がよかった。(70代、女性、3回以上)

☆「二階」は動きのない舞台だったのに、それは映画をみているような動的なものでした。はじめての朗読劇にすっかりとりこになりました。「離さない」はよくわかりません。(60代、女性、初めて)

☆放送劇との違いがもう少し出ればと思いましたが、出演者の息づかいがみえて迫力がありました。(60代、女性、3回)

☆二人の作家さんは心理描写を基調としていて表現も難しいと思うが、とてもリアルに伝わってきた。(20代、女性、3回以上)

☆久しぶりに清張作品にふれた気がした。いつもながら大変忠実に迫力をもって演じておられ感動した。川上弘美の「離さない」は二人のハモリ方がよかった。(60代、女性、3回以上)

☆直立不動なのに目の前に情景が?、不思議空間でした。クセになりそう?(40代、女性、2回)

☆「二階」の緊迫した空気はスゴカッタ。「離さない」は楽しかった! 人魚ってホントにいるのかな? いて欲しい。私も飼ってみたい?。(50代、女性、3回以上)

☆「二階」恐い心理劇である。人間の深いところに修羅の心がある。「離さない」春の日の白昼夢。人魚は何だったのでしょう。しかしあまり面白くなかった。演劇を観るより想像力をかきたてられる。(60代、男性、初めて)

☆初めて朗読劇なるものを観させて頂きました。普通の劇と違って、それ以上に想像がかき立てられて、内容がよく分かりました。「二階」はさすがです。「離さない」はその意図がどこにあるかよくわかりませんでした。(50代、女性、初めて)

☆今回初めて目の前での朗読を経験しました。はじめは目に入ってくる情報に気をとられて目を閉じて聞いていました。それもしばらくするとストーリーの中に入ってゆくことが出来て、自分で本を読んでいるような感覚でした。読んでもらうっていいなあと思いました。「二階」はびっくりの結末でした。「離さない」はコトバのテンポを感じることができました。同じ物語でもいろんな表現の仕方があるんだと発見しました。(20代、女性、初めて)

☆読書では得られないであろう作品の深さを感じた。(60代、男性、3回以上)

☆川上弘美さんのファンなので来場させて頂きました。朗読劇は初めてでしたが演者の発声がよく聴きやすかったので楽しむことができました。(40代、男性、初めて)

☆「二階」は集中して引き付けられた。「離さない」は題材に違和感が。(70代、男性、3回以上)

☆「二階」はせつなくて「離さない」はとても面白かった。少人数での話もきれいですね(30代、女性、3回以上)

☆「二階」中原聞きやすい。泉谷の女声(セリフ)もいい。藤田声弱い。西野の病人のけだるさよし。「離さない」はあめんぼの新しい朗読像か。(60代、男性、3回以上)

☆ほとんど目を閉じて聞いていました。お芝居とも本を読むのとも違い、朗読から想像が広がっていく面白さを感じました。(50代、女性、初めて)

☆表現の違う二作品を見せて頂き、とても良かった。朗読劇というものを初めて見たが、出演者がすべて暗記しているのがすごい。(20代、女性、初めて)

☆松本清張は読んだことがなかったですが、引き込まれました。(30代、女性、2回)

☆ドキドキして迫力ありました。(50代、男性、3回以上)

☆雰囲気の違う作品で時間の経つのを忘れました。朗読のすごさを感じました。(50代、女性、2回)

☆今までの演目とは一味違い、楽しみました。(50代、女性、3回以上)

☆内容的に清張よかった。(60代、女性、3回以上)

☆こんな舞台表現もあることを知りました。目線、語り口と難しいものもあるのでしょうが、しっかりと演出意図を汲み取って上演しているのが素晴らしい。小さなとちりなど気になさらず、ますますよい作品にめぐまれますよう。(60代、男性、初めて)

☆「二階」約一時間朗読劇の世界に引き込まれてしまいました。最初は演じる方たちの顔を見ず、目を閉じて聴いておりましたが、そのうち演技者が気にならなくなりました。「離さない」言葉がこんなにイキイキと聴くことができて楽しいひとときでした。(50代、女 性、初めて)

☆「二階」は大変面白くどこの段階で結末になるか関心が高まった。やや説明がくどかったが、原作のせいか。語りが次々変るのは戸惑いがある。1人で一貫できなかったか。「離さない」熱演だったが、ファンタジーと言うこともあってか、作者が何をいいたいのか、人魚が何を象徴しているのかわからなかった。(70代、男性、3回以上)

☆「二階」は引き込まれる展開で面白かった。南さんが幸子を演じてもいいのでは。「離さない」群読が聞けて良かった。(40代、女性、3回以上)

☆「離さない」は最初から最後まで聴くものをとらえて離さない魅力がありました。新しいあめんぼ座を見せて頂きました。(50代、女性、3回以上)

☆「二階」は淡々としているのに、目も耳も舞台に吸い寄せられて。奥さんの内面の起伏がとても理解できました。(60代、女性、3回以上)

☆「二階」はテーマが重く暗すぎる。(60代、女性、初めて)

☆二作品で静と動が表現されてよかった。声の美しさ、ことばの重みが改めてよく伝わってきました。(40代、女性、3回以上)

☆本を朗読するのかと思っていたので、びっくり。不動で語りだけで観客をひきつけていくのはお芝居より難しいと思います。目をつむり物語をふくらませて聴いているとすごくワクワクして楽しかった。(50代、女性、初めて)

☆朗読の力を感じた。人の力の素晴らしさも感じた。何か元気になりました。(40代、女性、3回以上)

☆立体化された舞台の奥深さを実感できた。(40代、男性、3回以上)

☆「二階」はぞっとした。「離さない」衣装が色彩がきれいで動きもあり、現代的な雰囲気があって、新しいあめんぼの姿をみせて頂きました。(50代、女性、3回以上)

☆「二階」はCDで聴いていましたが、また違った感じを受け聞き入りました。(50代、女性、3回以上)

☆「二階」は情景が想像できました。「離さない」対照的で良かった。群読息がぴったりでした。(40代、女性、3回以上)

☆「二階」は映画をみている様に、小説を自分で読んでいるように臨場感がありました。「離さない」簡潔で美しい文章が心に残りました。(50代、女性、初めて)

☆「二階」はじっくり聞かせてもらいました。とくに「離さない」はリズムのよさ、色彩、適度な動きなど工夫があり面白かった。(50代、女性、初めて)

☆前回より楽しかった。やはり作品の選択が鍵と思いました「二階」は朗読だけという違和感がなく物語りに引き込まれてしまいました。「離さない」力演でした。(70代、女性、2回)

☆「二階」ひきつけられた。「離さない」対照的で良かった。群読最高。(60代、女性、2回)

☆二本とも面白かったが、特に「離さない」は躍動感あふれていました。(70代、女性、3回以上)

☆「二階」は結末が意外でした。人間の心理は怖いと思いました。奥深く面白かった。「離さない」人魚の「離さない!」のセリフを聴いた時ドキっとしました。なんだか夢にでてきそう。対照的で良かった。群読息がぴったりでした。(30代、女性、2回)

☆両方ともどんどん引き込まれハラハラしました。得に人魚の声はとうぶんうなされるかも。(30代、女性、2回)

☆「二階」は結末にむかって緊迫感があり引き付けられた。「離さない」人魚を海に返すことができホッとしました。群読の息ぴったりで気持がいい。(60代、女性、3回以上)

☆二階」の重さ、「離さない」の軽快さの取り合わせよかったですが川上さんの作品は常に理解に苦しみます。群読楽しみました。(60代、女性、3回以上)

☆「二階」緊張感あふれる舞台で最後の最後までどきどきした。「離さない」気持よいリズムと展開が全く時間を感じさせず、川上弘美の世界がそのまま再現されていた。衣装の華やかさが魅力を増大していました。(40代、女性、2回)

☆朗読劇とはいえ舞台装置も、衣装もよかった。とくに「離さない」おもしろかった。(60代、女性、3回以上)

☆「二階」は重たい。「離さない」テンポあり、息がぴったりでかけあいもよかった。(50代、女性、3回以上)

☆もう少し明るい作品を希望します。(60代、女性、初めて)

☆「二階」の迫力すごかったです。朗読の人の心をうつ力にうたれました。(70代、女性、初めて)

☆目を閉じて聴いていると情景が浮び、ハッピーなひとときでした。西垣さんのいつもながらの若々しい声に感動しました。(70代、女性、3回以上)

☆結末の意外性にびっくり。(50代、女性、2回)

☆朗読劇は初めてで、客席を向いてセリフを言われるのが最初は変に思いましたが、話が進むにつれイメージがどんどん湧いてよりドラマチックでした。新しい分野の楽しみを教えて頂きました。「二階」恐ろしいまでの人間の感情と情念がよく表れていた。最初は語りが次々に移ることに違和感を覚えましたが、暫くすると美しいステンドグラスの様に小気味よくテンポのいい快感に変りました。「離さない」川上弘美の奇妙で不思議な、それでいてカラッとした爽快感がよくでていたように思います。舞台の春色の雰囲気もさわやかな気分にしてくれました。「幸子」はきっと「離さない!」と思ったのでしょうね。(50代、女性、初めて)

☆群読が聴けなかったのは残念。「二階」の緊密なアンサンブルはすばらしい。またたく間の1時間でした。音楽が少々物足りないのでは?「離さない」軽いタッチの作品を軽妙に演じて良かった。やや固さの残る南さんを柳沢さんがフォローし、西垣さんのやわらかい語りがいいアクセントになった。(70代、男性、3回以上)

☆群読がなかったので物足りなかった。「二階」内容がよく理解できた。熱演。「離さない」がらっと気分転換ができて楽しかった。西垣さんが可愛かった。(70代、男性、3回以上)

☆「二階」人間の業の恐ろしさはまことに哀れとしかいいようがない。「離さない」大人の童話のような軽いタッチの爽やかな作品で五月の空を鯉に乗って泳いだような気がして楽しかった。衣装もピッタリ。変らない西垣さんの張りのある声が印象的。(70代、男性、3回以上)

☆「二階」聞き入りました。その中に吸い込まれそうで、だんだんと3人の関係が凍り付くような結果を迎える作品に他の松本清張作品にも接してみたくなりました。「離さない」不思議で奇妙な作品でしたが、爽やかで動的で全体が明るく、語りの西垣さんと南、柳沢さんがチャーミングで気分爽快になった。(70代、女性、3回以上)

☆メダカを飼っています。朝起きると餌をやりにベランダへ出て腰をかがめて水面を眺めています。時には10分、20分と眺めているので足が痺れてきたりしますが、この時間がずっと続いたらいいなと思うときがあります。早く次のことをしなければと思いつつ、もうちょっと此処に、と一日の始めのささやかな葛藤が始まります。とても深い題材なのに爽やかに演じられて新しい風を感じました。(40代、女性、3回以上)


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